NISA(ニーサ)から積立NISAへの切り替えの注意点
今まで、株やFXなどの資産運用に対して、難しいモノ、怖いモノというイメージを抱く人は多かったように思います。
しかし、プロに資産運用を任せるファンドや国が発行する個人向け国債などリスクの
少ない金融商品が主婦やサラリーマンの間で認知され始め、株式投資に興味をもつ人が増えてきています。
積み立てNISAの出現により、
主婦やサラリーマンの間で将来の資産運用としての長期投資インデックスファンド投資が見直されています。
長期的なインデックスファンド投資をするときに積み立てNISAを利用する人が増えてきています。
また、もう既にNISA口座を開設して株式投資を行っている人はそのままNISAで投資をするか?
それとも積み立てNISAに変えようか?悩んでいる人も多いと思います。
そこで、NISA口座から積み立てNISAに変える時の注意点やポイントをまとめてみました
目次
まずはNISA(ニーサ)と積み立てNISAの違いを簡単に説明
NISAとは「少額投資非課税制度」と呼ばれています。
少額(120万円まで)で取引した、
株式や投資信託などの株式投資で得た利益に対する税金が、
「非課税」になる制度です。
普通は株式投資で利益が出れば課税対象になりますが、
NISA口座を利用して株式の売買取引を行うと、
売買益や配当金などに税金がかからないとても良い制度です。
一般的なNISA口座は、年間の買付金額の上限は120万円までです。
そして、5年間投資できるので最大600万円まで非課税投資が可能です。
一方、積立NISAは、
名前の通り積立てながら投資をする制度です。
年間の買付金額の上限は40万円と、
一般NISAに比べ少額ですが、20年間投資できるので最大800万円まで非課税投資ができます。
そして、一般的なNISA口座と積み立てNISAの大きな違いは投資対象です。
NISA口座は普通の株式投資のように、
株式や投資信託ETF やリートとアクティブに投資が出来ます。
しかし、積立てNISAは、
●積立ての長期運用に適したモノ、
●一定の要件をみたす投資信託とETFのみが投資対象になっているのが特徴です。
どちらも、「非課税である」という点は共通していますが、
年間の買付金額の上限や非課税で投資できる期間や投資対象が大きく異なります。
そして、一般的なNISA口座と積み立てNISAは併用することができません。
そこで、それぞれの特徴と違いを知ることは、
どちらの制度を選ぶか考えるうえで重要なポイントとなります。
NISAの詳しい解説はこちら
積み立てNISAの詳しい解説はこちら
https://toushi-fan.com/nisa-tumitate/
NISA(ニーサ)から積立てNISAに切り替える時の注意点
NISA口座から積立てNISAに直ぐに切り替えたとしても、
すでにNISA預りとして保有している投資信託は購入した年から5年間はNISA預りとして保有できます。
しかし、NISA預りの保有証券を積み立てNISA預りに変更することはできないので注意が必要です。
そして、通常のNISA口座の預りで購入した年から非課税期間(5年)を経過した際に積み立てNISA口座が設定されていると、
非課税期間の延長(ロールオーバー)ができなくなります。
一旦売却してから、積み立てNISAに口座を作るかということを考えると
私のオススメは2023年までNISA口座で投資を行い、
それから積み立てNISAに変えても良いのではないかと思います。
*ロールオーバーとは
NISAにおける「ロールオーバー」とは、
NISA口座で投資をして5年間経った時に、NISA口座内にある商品を新しい投資枠にそのまま移管することを言います。
(NISA口座は2023年まで投資が可能です。
積み立てNISAは2037年まで投資が可能です。)
NISA口座にある資金はどうなるのか?
今現在のNISA口座から積立てNISAに切り替えするにあたり、
最も気になるのが、元のNISA口座の資産がどうなるのかということだと思います。
NISA口座にある資金は3つのパターンから選択することが出来ます。
①保有している株式などを売却する。
②一般的口座か特定口座の課税口座に移す。
③そのまま5年間非課税で運用する
まず、①の売却する方法は今のNISA口座にある資産を売却して利益を確定させる方法です。
仮に、80万円を投資して、現在NISA口座にある資産が160万円になっていても、
本来ならその20%の16万円の税金がかかるが、
NISA口座で売却した場合は税金がかからず、80万円の利益をそのまま受け取ることができます。
そして、②一般口座や特定口座などの課税口座に移す方法があります。
NISA口座で投資した80万円が160万円になり、そのお金を課税口座に移した場合、課税口座の運用は160万円から始まります。
その後、160万円が200万円に増えた場合、
その増えた40万円に20%の税金がかかるということになります。
ここで注意したいのが、
NISA口座で損失が出ていても、課税口座に移した場合は損益通算できないことです。
NISA口座で投資した80万円が40万円まで減っていたとしても、
そのタイミングで課税口座に移した場合、課税口座の資産運用は40万円から始まります。
たとえば、40万円から元の80万円まで価値が戻った場合は、初めの80万円から利益は出ていないが、
課税口座に移した時点からは40万円の利益が出ているため、40万円の20%である8万円の税金がかかることになります。
ロールオーバーの変更からの注意点
2018年からNISAの仕組みが一部変更になりました。
大きな変更点は、NISAのロールオーバーの上限が撤廃されたことです。
これにより、今までよりも長期運用かつ幅を持たせた運用設計が可能となりました。
まず、NISA口座で保有している株式は5年経過後には、
その時点での時価をもとに特定口座や一般口座などの通常の証券口座に払い出しを行うか、
翌年の非課税枠分を使い*ロールオーバーするかを選択することになります。
今まではロールオーバーを行うとした場合には、
非課税期間終了時(5年後)の時価により、
新たな非課税枠へロールオーバーすることになっていました。
しかし、年間の非課税枠が120万円と決まっているため、
120万円分しかロールオーバーできなかったのです。
例として、2014年に80万円分の株式を購入していたとします。
5年後には80万円の利益を得て、
金額が160万円と倍になっていたとしましょう。
ここで売却すれば、利益である80万円は非課税となります。
そこで、ロールオーバーする場合にはどうなるのか
今までの仕組みのままでは120万円分しかできないため、
160万円のうち120万円分のみロールオーバーするしかありませんでした。
残りの40万円は通常の証券口座に移すか売却するしかなかったのです。
しかし、2018年の制度変更によって、
仮に上記の例のように、80万円の投資が160万円になった場合でも、
当初購入した株式すべてをロールオーバーできるようになったのです。
*NISA・ジュニアNISAにおける非課税期間終了時に年間投資上限額を超過した分も含めてロールオーバー(翌年の新たな非課税投資枠への移管)が可能となりました。
そのことにより、NISAの非課税制度の恩恵が受けられようになったのです。
NISAから積立てNISA切り替えに必要な手続き
今現在一般のNISA口座を使用している人が、
同じ金融機関で新たに積み立てNISAを始めたい場合は、
その年にすでに一般のNISA口座で買付けを行ったかどうかで手続きが異なります。
すでにNISA口座で買付けを行なっている場合、
その年の内に積立てNISAを利用することはできません。
*これは、NISAとつみたてNISAは併用できず、切り替えが1年に1回しかできないことになっているからです。
ですから、翌年から積み立てNISA口座の利用を希望する場合は、
現在の金融機関に「非課税口座異動届出書」を提出しなければなりません。
また、一般のNISA口座を使用しているが、
その年の1月1日以降まだ買付けを行なっていない場合は、
その年の内につみたてNISAの利用を開始することができます。
手続きとしては、「金融商品取引業者等変更届出書(勘定変更用)」を、
現在NISAを利用している金融機関に提出すれば直ぐに開設することが出来ます。
証券会社のホームページで簡単に手続きが出来ます。
NISAから積み立てNISAへの切り替え手順
NISA口座を利用している人が積み立てNISAを利用するなら勘定設定が必要です。
すでに証券会社にNISA口座を開設していて、
マイナンバーを提出しているのであれば簡単に積み立てNISAに移項することができます。
*積み立てNISAと従来のNISAを併用することはできません。
勘定変更の手続きは、証券会社のマイページから行います。
①証券会社のホームページから勘定変更を申し込みます。
②申し込み後に証券会社から書類が届きます。
③届いた書類にサインして郵送する。
簡単に手続きが完了します。
積み立てNISAを開設したあとは新たにNISAで株式などを買うことはできません。
最後に
株式投資を始めるのであればお得なNISA口座を利用しないことはないと思います。
そこでNISA口座を作るかべきか積み立てNISAで始めるのかはよく考えて口座を開設して欲しいモノです。
現在一般的なNISA口座で株式投資をしている人は積み立てNISAに切り替える時も注意が必要です。
私のオススメはNISA口座の資産をそのままロールオーバーできるので期限までNISA口座で資産運用を行い、
それから積み立てNISAに移項しても遅くはないと思います。
しかし、最初から毎月積み立てるような長期投資をするのであれば、
積み立てNISAも買いたい金融商品があるのであればマーケットをあまり気にせずにコツコツ積み立てられる積み立てNISAも良いと思います。
そして、あくまでも株式投資は必ずリスクがあります。
そこで、NISAと積み立てNISAのメリット、デメリットを今一度よく理解して投資を行って欲しいモノです。